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神戸教会パイプオルガンについて
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2手鍵盤及び足鍵盤
24ストップパイプ総数 約1,438本
建造者:辻オルガン (辻 宏)
「神戸教会のオルガンを制作して」 パイプオルガンは千数百年の長きにわたって教会の楽器であった。今日わが国ではコンサートホールの楽器として全国各地のホールに設置されていて、人々は教会外でオルガンを聞く機会が多いが、これは日本に特有の現象である。コンサートホールではオルガンは聴衆やオルガニスト評論家の批評の対象である。そこではオルガンは人に聞かれるために存在し、開きたい人だけが集まり、演奏家ときには楽器製作者の腕前が賞賛や批評の対象となる。しかし教会では礼拝に仕える楽器として、また礼拝する人々に役立つ道具(Instrument)としての性能が問われる。教会のオルガンは礼拝に集う人々全員に奉仕し、「主にのみ栄光」があるようにとの願いにしたがって設置される。いと高き所にいます方に栄光があるように、もっとも良いものを主に捧げるべき礼拝、その礼拝に仕えるオルガンは最高最善のものでなければならない。教会に集う人々が音楽専門家ではないからといって、コンサートホールのオルガンより劣っていてもよいという理由には絶対ならない。何百年も前に作られ、今も礼拝で鳴り響いているオランダやドイツ、イタリアそしてスペインの名器に触れるたびに、オルガン制作の先輩たちの腕前とそのオルガンの響きの力強さ高貴さ、また礼拝のためにこそ最高の芸術を育てたヨーロッパのキリスト者たちにより深く学びたいとの思いが深まる。古楽器を見るたびに「いと良きものを主に捧げよ」という言葉の実賎に触れる思いがして、それを辻オルガンの制作の原点にと思っている。 |
「教会と讃美」 オルガン設置委員会 我々が、喜びや悲しみなどで心が満たされた時、歌となって声になることは多いし、楽器に向かう行動をとることがある。歌い、弾き、また聴くことをとおして我々は、安らぎと共に、新しい自分を見出している。人間のごく自然な心の表現や伝達の手段として、音楽はごく身近にある。旧約時代も、様々な楽器と共に神をを讃美する歌があり、新約時代にもまた同様に讃美の歌声があった。神に愛され、喜びに心が満たされた時、自然に音楽が湧き起こってきたし、その讃美をとおして神に造られた新たな存在としての自分を見出しまた感謝を捧げてきた。その後の歴史で、キリスト教会の讃美を中心に音楽や広がりと深まりを見せて発展してきたが、教会の楽器としてのパイプオルガンも、讃美の歌声を支える楽器としてまた同時に自ら神の栄光を讃えるための楽器として用いられ、成長してきた。21世紀の始まりと共に神戸教会にパイプオルガンが設置された。「新しい歌を主に向かって歌え!」。文字どおり新しい讃美やまた過去の大いなる遺産である讃美が、新鮮な思いで深められ、心からなる神への応答と告白、感謝と決意の表れとしてこの楽器に支えられつつ共に歌いたい。同時に電気音に疲れている現代人にとって、パイプの笛が奏でる生の音楽は、息づかいもそのままに人の声にもっとも近い楽器として、豊かな安らぎと癒しを与えてくれ、新しい存在としての自分自身を見出させてくれると確信している。 |
「神戸教会と文化」 神戸教会前牧師 神戸教会は1874年に設立された。創立127年。初期宣教師たちと信徒たちは、福音の宣教を日本の近代を開く文化を伴って展開した。 教会は神戸女学院、頌栄保育学院、神戸YMCA、神戸真生塾など、多彩な働きの母体になった。そして伝道、教育、社会、文芸、芸術の分野で福音の種を播いた。『近代日本と神戸数会』(創元社、1992刊)にその趣は詳しい。洋画家小磯良平もその一人である。音楽には水谷央がいる。1874年日本最初の「讃美歌集」の出版、1904年「パイプ飾り付オルガン」の導入、1917年聖歌隊誕生、と歴史は古い。1961年米国ウエストミンスター・メソジスト教会、アップルトン第一組合の両教会から「アレン電子“オルガン”」の寄贈を受けた。この楽器は兵庫教区の働きと共に礼拝の音楽に仕えた。 以来40年を経て、次世代には、パイプオルガンを、との祈りが重ねられてきた。その最中、阪神・淡路大震災を経験、 1932年建築の会堂は半壊。その修復と並行して、この会堂にこそオルガンを、との信仰が興り、献金者達の熱意によって、このたびのオルガンは不思議な導きで与えられた。神戸には数少なくなった「近代建築」の会堂と共に、病める現代の都市として例外ではない、この街の、心の癒しになることが、このオルガンの使命であろう。イエスの十字架の死と生命を奏で、心の奥底深くには誰でもが宿している、渇仰としての讃美を引き出す「器」の与えられたことを心から感謝したい。 |
MANUAL I(HAUPTWERK)C-f’’’54 keys 1QUINTADENA 16’ |
神戸教会オルガン設置の経過 1981年2月初めて「オルガンのために」献金が捧げられた。以後、志を持つ方が積立てあるいは記念献金などの形で捧げ続けた。(総計50余名)1995年2月阪神・淡路大震災の直後「パイプ・オルガンのために」として匿名の献金が捧げられた。1996年音楽部委員会を中心に「なぜパイプオルガンか」の研究協議を実施1997年3月第123回教会総会にて「オルガン委員会設置に関する件」承認1998年3月第124回教会総会にて「オルガン導入準備委員会」設置を承認1998年8~10月14カ所の大学・教会などのオルガンについて見学・アンケートなどの方法で調査を実施1998年10月3社のビルダーからの見積入手1999年1月辻オルガンに絞ることで役員会へ報告1999年3月第125回教会総会にて辻オルガンヘの発注(ストッフ数19)、募金の実施、実務を担当する「オルガン設置委員会」を設ける、ことを承認、その後さらに匿名献金あり、仕様を24ストップとすることを検討1999年5月役員会ならびに責任役員会にて24ストッフ案で発注承認、募金趣意書を全員に配布、募金を開始、辻オルガンと契約調印2000年11月オルガン本体搬入、組み立て開始2001年2月奉献式を行う。 |